王様とうさぎさん

 そんな罠を張るほど私に興味はないようだったし。

 そんな恋愛の駆け引きを知る男にも見えなかったし。

 単に忙しいのかも。

 ……待て。

 今の時期、あの部署、忙しいか?

 悶々と考え続けていると、すうっと背中の方で冷たい気配がした。

 やばい。

 此処に居るよくない霊だ。

 数年前に亡くなった社員の霊らしいのだが、何故だか、この倉庫に出る。

 此処に想いを残しているのか。

 それとも、単に静かで暗いから落ち着くのか。

 ぺったりと背後に張りつく感じに寄ってくる。

 いや〜っ。
 まずいよっ。

 なにか陽気なことを考えなくちゃっ。

 自分の考えが陰に寄って、暗く沈むと、悪い霊が寄りやすくなる。