王様とうさぎさん



 
 多香子たちが自分の部署のお茶を抱えて出て行った。

 莉王がお盆を手にしたところで、まだ居た真人が訊いてくる。

「お前、今日も允さんのところに帰るのか」

「そりゃまあ、一週間は居る決まりだからね」

「允さんも一緒に寝てんのか」

「一人で泊まる儀式だって言わなかったっけ?

 でも、なんか、いつもよりよく寝られたわ。

 静かだからかしら」

「ああ、お前んち、一晩中うるさいからな」

 そう思うのなら、わざわざ泊まりにくるな、と思った。

「でも、ちょっと忍さんの気持ちがわかったかも」

「え?」

「わざわざ山の中から、街に通う理由よ」

「家賃がもったいないからだろ」

 身も蓋もないこと言うなあ、と横目に見ながら、給湯室を出ようとすると、
「貸せ」
と真人がお盆を持ってくれる。

 ありがたいが、周りになにか言われそうで、つい、周囲を窺ってしまった。