「此処が花嫁の泊まる部屋なの」
そう由莉子に案内されたのは、極普通の仏間だった。
確かに仏壇以外にも、棚があって、そこに位牌がずらりと並べてあるが。
天井からたくさん位牌がぶら下がっている部屋で、ご先祖様が寝ている自分を取り囲んでいるイメージだったのだが。
よく考えたら、そんなはずはない。
ほっとして允を見た。
また、なんの妄想をしてたんだ、という顔で、允は布団を敷いてくれている。
「夜は冷えるから、毛布も持ってきましょうかね」
と由莉子は出て行ってしまう。
允を振り返り、
「卯崎さん、すみません。
布団まで敷いていただいて」
と言うと、
「卯崎と呼ぶなと言ったろう」
と機嫌が悪い。
「今、誰も居ないじゃないですか」
「そう呼んでると、癖になるからだ。
忍は最初から名前で呼んでるのに」
丁寧に布団を整えている允の側に座り、手伝いながら言った。
「そりゃ単に、忍さんの名字知らないからですよ」



