王様とうさぎさん

 彼女は、空虚な目で自分を見下ろしていた。

 生前、どんな人だったのかわからないが。

 今は、表情もなく、ぼんやりとしている。

 此処に出たのか。

 允の後ろに出たのか。

 それとも、私のところに出たのか。

「私、允が結婚して、寺を継ぐというとは思わなかったわ」

 ふいに由莉子はそんなことを言い出した。

「え」

「允はなにか悩んでいることがあって。

 自分が幸せになることも、寺を継ぐことも考えていないように思えた。

 親なのに、それが何故なのかはよくわからなかったんだけど。

 私たちに話さないのなら、きっと、それは親には知って欲しくないことなのよね」

 そう思って訊かなかったわ、と言う。

「莉王さん、貴女には話してくれた?」

「私も聞いてないです。

 でも、こうなのかなって思うことはあります。

 允さん自身に確かめることはしてないですけど。

 本人が話したくなったら、話すと思うから」

 そう、と由莉子は言った。