「面白い人ねえ、莉王さん。
まさか、いきなり嫁と一緒にお風呂に入ると思わなかったわ。
温泉みたいで楽しいけど」
身体を洗いながら、由莉子が笑う。
「す、すみません……」
と湯船の中で小さくなっていると、由莉子が言った。
「莉王さん、もしかして、何か見える人?」
「え?」
「ちょっと視線の動きが猫みたいだなあって思って」
猫ですか、と思う。
確かに、猫や赤ん坊には霊が見えているというが。
「何か見えたの?」
答えた方がいいのか、迷う。
「よくないものが見えた?」
「……私には、それがよくないものなのかどうなのかわかりません。
何故、此処に出るのかも。
此処に、出たんですかね?」
あれは、黒部清香ではないかと思っていた。
根拠はないが。



