王様とうさぎさん

「私もあんまり、誰が好きとかいうのなくて」

「……真人とか、昔から親しかったんだろう?」

「いえ、真人とは高校時代は、あまり接点がなくて。

 なんだか汗臭い体育会系で、みんな騒ぐけど、暑苦しそうでやだなあ、と思ってました。

 でも、会社に入って話してみると、すごく話しやすくて、意気投合して。

 だけど—— 恋にはならなかったです」

 そう言うと、允は、ほっとしたように見えた。

 そう見えるのは、自分の願望だろうか。

 ……願望?

「このまま、恋も知らないまま、親に勧められて、結婚して死んでいくのはやだなあって思ってたんだけど」

 また極端なことを言い出したという顔で允が横目に見る。

「允さんはいいんですか?

 このまま、家のため、花さんのために、よく知らない私なんかと結婚して」

「し、知らなくはないだろう。

 素顔も見たし、眼鏡も見たし……パジャマも見たし……」

 いや、そういう問題か?
と思ったとき、允がなにか言いかけた。

「俺はこ……」