王様とうさぎさん

「そうだ。
 花さんと見合いしたくないから、急いでたんですよね」

 ちょっと厭味まじりにそう言うと、花さん、関係ないだろう、と言う。

 なんだか花さんをかばってるみたいに感じられて、ちょっと腹が立った。

「もう、花さん花さんって——」

「お前が言ってるだけで、俺は言ってないだろ。

 花さんは、本当に関係ない」

 ぴしゃりと言われて哀しくなる。

 どうせ、私には関係ないことだもんねー。

 偽の嫁だし、と窓の外を見て、いじけていると、山を越えて、集落の灯りが見えてきた頃、允が言った。

「花さんは関係ない。

 お前はどう聞いてるのか知らないが。

 俺は別に花さんが好きだったわけでもない」

「憧れてたって聞きましたけど?」

「そんなこともない。

 ……こともないかもしれないが。

 まあ、あの田舎町で、目立つのあの人だけだったからな」

 そう言えば、忍もそんなことを言っていた。

 あの忍の言葉も気になるんだよな。