王様とうさぎさん

「でも、卯崎さんって、眺めてるぶんにはいいけど、相当な変人だって聞いたけど」
と佐江と同じ部署の多香子が言う。

 ああ、変人もいいとこだ、と莉王は思い、聞いていた。

 名前も知らない、二、三度しか会ったことがない女と、霊が見えるというのと、見合いよりマシという理由だけで結婚しようとするなんて。

「……あれはやめといた方がいいよ」

 思わず、そうもらすと、呑気な佐江は、

「やだーっ。
 牽制ですか、莉王さん。

 大丈夫ですーっ。
 私、彼氏居ますからー」
と笑い出す。

 待って、今、コンパに行こうとしてなかったですか、お嬢さん、と思ったのだが、誰も気にしていないようだった。

 まあ、コンパなんてそんなものか、と思う。

 人によっては、ただの出逢いの場、という名前のついた呑み会だ。

「はい。
 ひとりがデートしてきた罰。

 持ってって」
とお盆を渡される。