王様とうさぎさん

「コンタクトは?」

「急ぐんじゃないんですか?」

 それくらい大丈夫だろうと言うと、わかりました、と莉王は奥へと引っ込む。

 眼鏡もパジャマも可愛いと思う。

 でもそれはきっと、本当にそれが可愛いというよりは、自分に隙を見せてくれている気がするからだ。

 スーツを着込んだ莉王よりも、パジャマ姿で無防備な莉王の方が抱き締めやすそうというか。

 そんな不埒なことを考えている間に、莉王が出て来た。

「よしっ。
 行きましょうっ。

 サンドイッチください。

 あ、車の中で食べて大丈夫ですか?

 駄目だったら、着いてから給湯室で食べます。

 朝食抜きっていうのは苦手なので」
と莉王がなにやら話しているが、あまり耳には入っていなくて、適当に頷きながら、彼女の顔を見ていた。

 そのまま、勢い良く出て行こうとする莉王の手首を思わず、掴む。

「へ? なんですか?」
と莉王が振り返った。

「……いや」

 このまま、此処に居たいと願ってしまった。

 だが、それを口にすることなく、莉王について外に出る。