パジャマを着ている方がスーツ姿より可愛い気がする、と言ったら、どつかれるだろうか。
昔、結婚式に招待された従姉が、このドレスはどうだ、と見せにきたので、普段着の方が似合うと言ったら、どつかれた。
本当なのだが。
体育会系で健康的な従姉には、オーガンジーのドレスより、速乾のTシャツの方がよく似合っていた。
褒めているつもりなのに、褒めてないように取られることもあるから、いっそ、褒めない方がいいような気がしていたのだが。
忍が照れるから莉王の名前を呼ばない、と言ったという話を思い出す。
忍なら、相手に怒られることなく、スマートに女性を褒められるだろうな思った。
莉王が出てきた。
よく似合うスーツ姿だ。
何か言おうかと思ったが、やはり言葉が出なかった。
「お待たせしました、行きましょう」
と莉王は眼鏡を片手にして言う。
「……かけないのか」
「かけませんよ」
と肩をすくめて見せた。



