王様とうさぎさん

 ああっ。
 先にパジャマ着替えればよかったっ、と思っていると、ドアの向こうから允の声がした。

「まだ時間はある。
 焦るな」

 允にそう言われると、逆に緊迫感が増してくる。

 なにかサバイバルゲームに参加している気分だ。

「家で食べろ」

「わ、わかりました。
 私、妙な格好してるけど、気にしないでください」
と言いながら、ドアを開ける。

 すぐさま、部屋の中にとって返し、慌てて布団を上げた。

 允が来ると思っていなかったので、先に化粧して、布団を上げなかったのだ。

「どうぞ、なにもありませんが」
と言うと、買ってきた、と言う。

「あ、これ、お金です」
と二千円渡すと、允は、いらない、と言い、

「いいから、早く支度しろ」
とクッションに腰を下ろした。

 莉王は、はいっ、と服を手に、洗面所に駆け込んだ。