廊下にある昔ながらの黒電話。
目の前の柱にかけてある一輪挿しを見ながら、允は、今の莉王との会話を反芻していた。
「駄目じゃないか、そういう口調じゃ。
王様、びびっちゃうだろが。
王様なんだし」
及川がいつの間にか背後に立っていた。
「どうかしたのか。
忍が送っていったようだが」
いえ、別に、と言うと、あまり酔いが顔に出ていない及川は、
「ありゃ、いい子だなあ」
と莉王の前では絶対言わないようなことを言う。
そのときだけは、嫁を見極めようとする厳しい総代ではなく、人のいい近所のおじさんになっていた。
「よくあんなの見つけて来たな」
だが、と及川は考える風な仕草をする。
「王様は、……何か隠してる感じがする」
「え」



