王様とうさぎさん

「いや、確かに私は方向音痴ですが、運転してたの、私じゃないですからね。

 街中では迷ってないですよ。

 それはさすがの私でもわかります。

 途中からは、いつも通ってる道なんですから」

「忍がいつも通勤してる山道を間違うわけないだろ」

 そう言っておいて、いや、待て、と自分で言う。

「……あいつのことだからな。

 じゃあ、狸じゃなくて、忍に化かされんだろう」

「ああ、そうかもしれませんね」

 山を行ったり来たり、されていても、莉王にはわからない。

「なんの話をしてたんだ?」

「貴方の話とか。
 お寺の話とか、いろいろですよ」

 清香の話は出さなかった。

 そうか、と言う。

 多少は心配してくれていたのだろうかな、と思った。