王様とうさぎさん

「違う。
 うちの近くに基地局がある。

 山を舐めるな」

 いや、舐めるなって。

「お前のスマホ、電池が切れてるか、電源が入ってないんじゃないのか?」

 そう言われ、えっ? と鞄から取り出してみた。

 本当だ。
 電源が落ちている。

 切った覚えはないのだが。

「随分と遅かったな」

「そうですか?
 迷わず、此処に辿り着いたんですけど」

「狐にでも化かされたか」

 時計を見る。

 そういえば、昼間、卯崎さんに連れていってもらったときより、時間がかかっているような。

 混むような道ではなかったのに。

「お前は方向音痴だからな」

 迷ってても、気づかなかったんだろう、と言われる。