何故か頭を丁寧に下げて部屋に入っていく莉王を忍は下から見送っていた。
少し笑う。
ぜんっぜん、状況わかってないね。
なんでそこで、僕に頭を下げるの。
清香タイプの清純派だが、莉王はまた、全然性格が違うな、と思っていた。
普段は、ただ、可愛いだけで、色気もないが、暗がりで真摯に見つめられたりすると、あの瞳にどきりとする。
うちの店にふらりと現れたら、危ないから、帰りなよって言いたくなるタイプだ、と思う。
まあ、その場合、危ないの、僕だけど。
人の彼女に手を出す趣味はないけど。
王様は悪くないな、と思っていた。
允に薦めるんじゃなかったか、とちょっと後悔した。
だが、まあ、まだ軽い気持ちだ。
允に対する気持ちを確かめさせようと思ってキスしたというのは、嘘じゃない。
でも――。



