王様とうさぎさん

「あ、やっぱ、お礼、今のでいいや。

 允には言わないでね。

 ま、言ってもいいけど。

 允の反応見られて面白いよ。

 ああ、でも、僕、殴られるのやだから、やっぱ、やめてね。

 おやすみ~。

 ほら、早く上がりなよ。

 物騒だから、部屋に入るまで見ててあげるから」
と優しいことを言うが、貴方が物騒ですよっ、と思っていた。

「一人で戻れないんなら、僕が部屋まで送ってってあげるけど?」

 け、結構ですっ、と頭を下げて、駆け戻る。

 忍は笑っているようだった。

 階段を駆け上がり、部屋のドアを開けて振り返ると、忍はまだ待っててくれて、こちらを見上げて手を振ってきた。

 もう一度、頭を下げて、部屋に入る。

 ああいう人には、あれ、挨拶みたいなものなんだろうなあ。

 やっぱ、怖いや、夜の街。

 そう思いながら、戸を閉めた。