王様とうさぎさん

「おやすみなさい」
とドアに手をかけたとき、その手を忍が押さえた。

 ん? と振り向くと、忍の顔がすぐそこにあった。

 唇を重ねてくる。

 いきなりだったのと、驚いたのとで逃げそびれた。

 允より長い、と正気に返り、押し返すと、

「今、允の顔、浮かんだ?」
と笑う。

「じゃあ、やっぱり、それ、恋だよ。
 おやすみ」

「……おやすみなさい」

 まだ酔いが残っているせいか、我ながら、反応が鈍く。

 状況についていけていなかった。

 車から降りると、窓を開けた忍が助手席に手をつき、身を乗り出して言う。