王様とうさぎさん


 

 本当に暗いな。

 懐中電灯があってよかった、と思いながら、莉王は二人の行く先を照らす光を見ていた。

 山の夜は静かだ。

 だが、心地良い静けさだった。

 微かに聞こえる虫の音もまた。

「及川さんって呼ぶんですね」

「ああ。
 由莉子さん?」

「忍さんですよ。
 おじさんなんでしょ?」

「……呼びたくないんだよ。

 おじさんなんだー。
 似てないねーから話が始まって、最後は真実に到達する」

 淡々とした口調に、いっそ、笑ってしまった。

「いいじゃないですか。

 忍さんが及川さんみたいにならなきゃいいだけの話でしょ?」