王様とうさぎさん

「じゃあ、お嫁さん、送っていきます。
 責任持って」

 そう忍が言うと、ぷっ、とまた由莉子は笑った。

「懐かしいわ」

「え?」

「私の式の日取りを決めた日も、こうしてみんなが宴会を始めてしまって。

 太郎さんはそれに付き合わなきゃいけなかったから、及川さんが送ってってくれたのよ」

 へえ、と忍が言った。

 莉王もまた、へえ、と思う。

 愛する由莉子の結婚話のあと、どんな思いで、及川は彼女を送っていったのだろう、と思ったのだ。

 ……なんだか切ないな。

 いきなり後ろのすりガラスが開いたと思ったら、允が顔を出した。

 莉王を見、
「気をつけて帰れ」
と言う。

「……おやすみなさい」

 爺様たちに呼ばれて、戻る允が、出て行く寸前、一瞬だけ振り向いた。