王様とうさぎさん




「うちまでちょっと歩くよ」
と玄関で忍が言う。

 もう日も暮れ始めていた。

「懐中電灯持ってったら?」
と由莉子が下駄箱の上のそれを見ながら言う。

 この辺りにはあまり街灯がないようだった。

「そうですね。
 僕一人なら、大丈夫なんですけど。

 どうします? 王様」
と忍はこちらを向いて言う。

 由莉子は口許を押さえ、笑っているようだった。

 笑っては悪いと思っているようだ。

 そして、言う。

「莉王さん、明日からのことだけど。

 別にやらなくてもいいのよ、今どき」

「由……お義母さんはあの儀式、されたんですか?」