王様とうさぎさん

「及川さん、忍さんともかなりお親しいんですね。

 檀家さん仲間だからですか?」
と莉王がマヌケなことを訊くと、及川は、

「これはわしの甥だ」
と言う。

 えええええええっ。

 一ミリたりとも似てないんですがっ、と思っていると、老人のひとりが豪快に笑って言った。

「忍ちゃんは、丈(たけ)さんの若いときにそっくりだあ」

 丈さんとは、及川のことのようだった。

「うわあ、厭だあ」

 忍と同時に言っていた。

「丈ちゃん、若いときは、こんな感じの男前だったんだよー」

 そ、それが何故、こんなことに。

 或る程度の年まで来たら、自分の顔に責任を持てというのは、こういうことだったのか、と思った。

「やめてよ。
 僕、年とったら、丈さんみたいになるの?」

「忍ちゃんはならないよう」
となんの根拠もなく、老人たちは忍を慰めている。