王様とうさぎさん

 


 朝食を食べに行く前に、允は莉王のアパートに寄ってくれた。

 莉王は急いで車を降りかけ、
「すぐに戻ってきますから」
と言ったのだが、允の目線がアパートを見ているのに気がついた。

「上がってみますか?」

 そう問うてみる。

「いいのか?」
と言う允に、莉王は、ふふふ、と笑ってみせた。

「いきなりだと散らかってると思ってるんでしょう。

 実は、今は片付いてるんですよーっ」
と言うか、ずっとウロウロしていて、あまり家に居なかったので、散らかす暇がなかっただけなのだが。

「バラしてどうする……」
と允は呆れた。

 まあ、今は片付いていると言ったら、普段は散らかっていると認めたようなものだが。

 まあ、とりあえず、今、散らかってなければいいのだ、と莉王は思っていた。