まだ結婚もしていないのにっ。

 莉王は潮が聞いたら、指を指して爆笑しそうなことを思う。

 いいんだから。

 人には人の生き方がそれぞれあるんだから。

 そう自分に言い訳しながら、布団を被る。

 そのとき、気配がした。

 ひんやりとした気配。

 水のような。

 允ではない。

 そもそも、幾ら彼でも、音もなく鍵を開けては入ってこない。

 莉王はそっと布団の隙間から、そちらを窺った。