「莉王……」
と瞳を見つめられ、莉王は慌てて立ち上がった。

 允の手が離れる。

「おやすみなさい。
 さようなら」

 そう言い、寝室に駆け込んだ。

 何故か寝室には鍵がついていたので、ガチャリとかける。

 そのまま、布団を被った。

 駄目だ。

 このままじゃ、猛烈な勢いで流されていくっ。

 だが、そう思いながら、何故、駄目なのか、自分でもわからなくなりそうだった。

 いや、そうだ。

 卯崎さんが私と結婚したいと言ったのは、私を好きだからってわけじゃない。

 そんな人と結婚するのはどうかと思うから。

 だが、今、允自身、よくわからなくて迷っている風なことを言っていた。

 でも、どのみち、これ以上は駄目だ。