さて。
ひとりで食べに行くのはあまり好きでないし。
コンビニで何か買って、近くの公園で食べるかな、と思いながら、ロビーまで下りた莉王はぎくりとした。
そこに允が立っていたからだ。
逃げる余裕はなかった。
エレベーターを降りた瞬間に目が合ってしまっていたからだ。
そのまま通り過ぎるのもな、と思い、
「おはようございます」
となんとなく挨拶すると、
「今、昼だが」
と言い返される。
そうなんだけどっ。
こんにちは、だと何か気安い感じがするではないか。
こんにちはでございます、と言ったら、ふざけているのかと恫喝されそうだし。
ごきげんよう、とか?
殺されるな、と思いながら、允を見上げていると、同じ部署の男性社員が、なに? 知り合い? という目で見て言った。
まずい。



