【完】いいかげん俺を好きになれよ


あたしの目をじっと見つめるアユ。



「…言っとくけどもう、未練とかないから」



……だけどそういう問題じゃなかった。


未練があるとかないとか、そういうことじゃなくて。


あたしはただこの事実が受け入れられなかった。



「う…うん…そっか」



とりあえず頷いて笑ってみせたけど、心の中のモヤモヤは晴れなくて。


アユはなにも悪くないのに、誰も悪くなんてないのに、

ずどーんと胸の奥が重たくて、苦しかった。



「…送る。家まで」



アユは小さくそう言うと、そっと手を握る。


その感触が優しくて涙が出そうになる。



あぁ、どうしてかなぁ……


アユはなにも変わっていないのに、さっきとなにも変わらないのに、

まるでもう別の人みたいに思えて。


こうやって繋いでくれた手ですらも、真由香と昔こうしてたのかなぁ…なんて

そんなふうに思ってしまう自分がすごく嫌だった。



アユの気持ちや優しさをを、素直に受け取ることができない…