アユが連れて来てくれたのは、土手の上の一部木が生い茂ってる場所。


河川敷の近くにこんな茂みがあるなんて。


っていうか、ここのどこで花火見るの?



「ここ…?いい場所って」


「そう、だから入れよ」


「えぇっ!?」



なんだかまるで怪しい場所に連れ込まれてる気分なんですけど…


相手がアユじゃなかったら警戒しちゃうよさすがのあたしでも。


だけどアユがそう言うなら、ほんとなんだろう。



「こ…こんなとこで花火見れるの?ほんとに」


「大丈夫だから、来いって」


「きゃっ!」



そして無理矢理手を引いて連れて行かれた先には……



「…わーあ!おっきな石!!」



茂みの奥に人が座れそうな大きな石があった。



なんだ…びっくりしたよ…。

茂みの中に連れ込むとかアユ何考えてるのかと思っちゃったじゃん。



「これに登って見るの?」


「そう」



アユは頷くと先にひょいっと石の上に登る。

そして



「美優、つかまれ」



手を差し伸べられて、あたしはアユの手をつかんで自分も石の上に登った。