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「お母さん!髪の毛どう?変じゃない?

帯ずれてない?」


「大丈夫よ!ちゃんと着付けたから。

髪もきれいになってるわよ」



花火大会当日は雲ひとつない空でとても蒸し暑かった。


あたしは夕方からバタバタ支度中。


去年彼氏がいるわけでもないのに勢いで買った赤い浴衣を出して、お母さんに着付けてもらう。



「あっ、そういえば真由香(まゆか)ちゃんも今日彼氏と花火行くみたいよ。

会ったらよろしくだって」


「えっ、ウッソー!真由香も?

もう新しい彼氏かぁ〜いいなぁ!」


「あんたも彼氏の1人くらい連れて来なさいよね」


「…うっ、わかってるよ〜もう…」



お母さんも最近あたしに彼氏はまだ?とかうるさい。


母方の同い年のいとこ(美少女)にはもう2人目の彼氏がいるのよ、なんてそんなこと言われてもねぇ…。



「姉ちゃん何そんな気合い入ってんの?彼氏いねーんだろ?

あ、もしかして男と約束?

どおりでいつもより化粧濃いと…」


「もう啓太ぁっ!うるさいっ!!

あたしだってイベントの時くらいおしゃれしたいの!!ほっといて!」


「ふーん。でもまぁ姉ちゃんに男できてもどうせたいしたことねーか」


「…ッ、あんたねぇ…!」



さらに中二の弟啓太(けいた)は生意気ざかりで、あたしが珍しく着飾ってるのをさっきからバカにする。


ほんと可愛くないんだから。



「あっ、美優もうすぐ50分よ!啓太も!」