その日、 僕らは、 餅もつかなかったし、 三々九度もしなかった。 ただ、 初めて握手をした。 おずおずと手を出した 彼女の手をぐっと 掴んだ時、 もちろんワインの助けもあったが 僕は、今までの僕ではなく、 すごく男らしくなった 気がしたんだ。 ヘタレな地味男子の僕の背筋が、 何年かぶりに伸びたのだ。