正座をして、
部屋の外から声をかける。

「理太です。
ただいま戻りました。」

「入れ。」

障子を開けて入り、
また座り、障子を閉じた。

お祖父様の前へと進む。


「早う、着替えてこい。
もう、お見えになる。」


「は?」


お祖父様は、
目を閉じて言った。

誰が来るの?

父や母に敬語は使わないし…
そもそも、両親がわざわざ
誕生日のためになんか
帰ってくるはずがない。

不思議に思いつつも、
聞いたって怒鳴るだけだろうし、
とりあえず、
「はい。」と言った。