「あっ、そうそう」

 ユイは思い出したかのように腰のトレジャーバックに手を突っ込んだ。

「ん?」

 キャスケットはユイがごそごそと取り出したアイテムを見下ろした。

「これ、プレゼント」

「ええええ、これって『深海のピアス』?」

「うんっ」

 ユイはそれをキャスケットの何もついていない耳に、アシンメトリーのピアスを装備させていく。

 右のピアスには渋めの金色の、とても小さなリングが縦に四つ連なり、それぞれのリングには透明から白乳色の宝石が大小バランスよく、取り付けられていた。

 左のピアスも渋めのゴールドのリングを土台にし、二つの連なったリングの先には涙の形をした青白く光るムーンストーンが1つ下がっている。

 キャスケットは動揺しながらユイに尋ねる。

「これって、たしか私たちが最初に冒険した港町の村人がくれるアイテムよね?あのクエスト(ミッションよりも軽いもの)は1人用で、みんなで協力してボスを倒すことができないからすごいたいへんだって聞いたわ。だからこの『深海のピアス』も、けっこうな値段でトレードされてるはず」

「うーん、たしかに高いかも。でも、このクエストをクリアしたときに、これはキャスケさんに絶対に渡そうって決めてたから」

「わたしまだ、あのクエストやってないからどういうストーリーなのか分からないんだけど、結衣がそう思ってくれた理由は、クエストの内容に関係があるの?」

「うんっ。このクエストの名前は『海に消えた恋人』。漁に出たまま帰ってこない恋人を浜辺でずっと待ち続けてる女の人から受けられるクエストなの。話しかけると、彼は絶対に生きてるから探してきて欲しいって言われて、次にその隣で魚を干してるおじさんに話しかけると、『神木の島(初心者島)』の漁師仲間が彼に似たやつを見たっていううわさが聞けるの。それで―――」