「ちゃんと聞いてるよ、しっかりと頭の中に入れておくね。キャスケットさんが一生懸命伝えようとしてくれてるのが分かったから。まだいまいちはっきりとは分からないけど、きっと、私が思ってるよりもオンラインゲームってリアルにすごくリンクしてるのかも。リアルマネーを稼いでいる人がいたり、そうやってリアルの生活でうまくいかなくなっちゃったり」

「そうね。一番怖いのはすべてが自己責任ってこと。この太陽神界にはプレイヤーに対する法律があって、ないようなものだからね」

 ユイは天井のキラキラと輝く鉱石を見上げているキャスケットの横顔を見た。

 キャスケットはこの太陽神界でどんな経験をしてきたんだろう。

 私も太陽神界でキャスケットさんみたいに、生きていけるのかな?

「なにをクリアーにしたらいいのかまだわからないけど、私、今はもっと、世界を見てみたいな。今日みたいにいろんな人と会って、もっとたくさんのことを知りたい」

 ユイはキャスケットのまねをして、天井の鉱石を見つめたまま言った。

「キャスケットさん、ここに連れてきてくれてありがとう」

 キャスケットはそれを聞いてにっこり笑う。

 その視線がユイのレギンスでとまった。

「あっ、ユイ、新しいレギンス買ったのね。コロナタの首飾りと合っててかわいい」

 ユイは照れながら微笑んだ。

 2人は再び天井に視線を戻す。

 そのうちまた、どちらからともなく言葉が漏れた。

「きれいね」

「うん、すごくきれい」

 コロナタとの戦いもすごく楽しかったし、戦闘後にみんなから喝采を送られたこともすごくうれしかった。でも、こうやってゆっくりとキャスケットさんと過ごす時間はもっと、ドキドキして楽しい。

 ユイは温かい気持ちになりながら、心からそう思っていた。