バタバタと廊下を走る音がきこえる。


「いたっ…痛い…!!
やめろ!!やめろっっ!!!」


引き続き、叫び声も聞こえてきた。


なに…?


先生は…何かから逃げているの?


だとしたら何から…?


「だ、誰か!!助けて…!
誰か…ひぎゃっ…!!」


……………。


蛙が潰れたみたいな小さな嗚咽の後、廊下からは何も聞こえなくなった。


そーっと、扉の小さな隙間から廊下を覗く。


そこに渡辺先生の姿はない。


かわりに…髪の毛で前後ろがわからないような、見たこともない不気味な女の子が遠目からでも確認出来た。


「渡辺先生…?
どうかしましたか……って、うわああぁっ!?」


渡辺先生の声を聞いて来たのか、生徒玄関側から歩が歩いてきた。


だけど、その女の子に気付くと驚いたように悲鳴をあげ、後ずさりをした。