それもそのはずだ。
だって外は真っ黒で…本当に何も見えない。
底無しの沼のようにだって見える。
どんどん学校が沈んで行ってしまっているんじゃないかと錯覚するくらい、それは異常に黒かった。
「………じゃあ…朱里の喩え、『ここは異空間』ってやつ…。
あながち間違ってないってこと?」
「そうね。むしろ大正解かもしれないわ」
望絵の呟きに、朱里さんは間髪も入れず答えた。
朱里さんは…なんでこんなに物事を捉えることが出来るんだろう。
今起きてることなんて非現実で、人に言われても信じられないのが普通なのに。
それを容易く言い当てるなんて……。
しかもその非現実な言葉を朱里さんが言うと、妙に説得力があって信じてしまう。
今こうやって先生以外はきちんと現実を受け入れてるのが証拠だ。
…………あ、狛くんはわからないけど…。



