わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜



「あのー…こんな口論してるよりやるべきことがあると思うのですが」

「全くよ…
先程の校内放送の通りなら、私たちはここから出られないのよ?

佐久間を納得させる方法を見付けるのが先なんじゃないかしら」


私と朱里さんが口を挟むと、先生は押し黙った。


私、一応先生だからですますで話したけど…朱里さんは躊躇ないなぁ。


悠人くんは「黙ってろ!!」と私たちを威嚇したが、ギロリと朱里さんに睨まれた瞬間に怯んだ。


なんか朱里さんのその目がまるで汚い雑巾を見るようなものだったから…睨まれていないはずの私まで悪いことをしてしまった気分になる。


そのまま悠人くんは、舌打ちをしながらガンッ!と壁を殴り、放送室を出ていってしまった。



「………生徒玄関だろう?
そんなもの鍵を持ってこれば良い話じゃないか。
先生が持ってくるからお前らは先に行って待ってなさい」


さっきまで騒いでいたことに引け目を感じているのか、脂汗がたっぷりな額を拭いながら渡辺先生は出ていった。


確かに鍵は職員室にあるだろうし先生に任せた方が良いのかもしれないけど…


これは、そんな鍵が掛かってました~で終わるようなものじゃないと思う。


「………無理ね。
そんな簡単な話じゃないわ…」

「朱里ちゃん!
そんなこと言わないでよ…!」

「…桜、外を見てみなさい。
いくら夜でも、こんなに暗いことってあるかしら?」


朱里さんの言葉で窓に注目した私たちは、一人足りとも反論が出来なかった。


「……は、なにこれ…?
俺、夜ってもっと明るいと思ってたわ…」


そう言った歩の顔は、きっと笑い飛ばそうとしたのだろう。


笑顔がひきつっていた。


それに、出ていった悠人くんを追いかけようとしていたらしい足を止めている。