「……『人間』。
大丈夫、私は本物だよ」
「………。良かった」
掴む力がゆるくなって、悠人くんは顔をあげた。
そして、二人で微笑み合う。
「……あのさ、さっきから思ってたんだけど。
なんで芽衣ちゃんと悠人、そんなに仲良くなってるの?」
話し合いをしていたはずの歩の声が私たちに向けられて、一瞬驚く。
悠人くんも私を掴んでいた手を離して、歩の方を向いた。
「うーん…悠人くんとはこの前にも一回会ったんだよね。
もう会うのも2回目だし、だからじゃないかな?」
「……あ、そういえばさっきそんなこと言ってたね!
でも、本当にだからなの?
それにしては仲が良すぎる気がするんだけど」
「お前がどーゆー意味でいってんのかはしんねーけどさ。
俺はそんとき色々教えてもらって、『あの子』とかを知れたからここまで生きてこれたわけだから…まぁ、普通だろ?」
「……ふぅん」
歩が、納得しない様子で私たちを交互に見る。
そして、諦めたように皆を振り返って手をあおいだ。



