「………仕方ないか。
狛のことは悪いけど、後で考えよう。
まずは朱里ちゃんと望絵ちゃんを探そう」


「………そうだね。
狛くん、多分簡単には死なないだろうし…」



助けてもらったことを思い出して、そう言う。


私たちは『あの子』から逃げることは考えても『あの子』を倒すことなんて考えもしなかったから。


ましてやメトロノームを投げるなんて…。


そこまで考えて、あることを思い出した。


そう…狛くんに抱き締められて、隠れていた時のこと。



「………………………っ」


「………?芽衣ちゃん?
どうしたの?顔、赤いよ?」



今度は少し鼻声の桜ちゃんにそう訪ねられ、我に返る。


さっきも何か考えて、歩に呼び戻された記憶がある。


私、そんなに顔に出やすいかな。



「う、ううん!なんでもない!
早くみんなを探しにいこう!」


「………?う、うん…」



桜ちゃんも泣き止んだみたいだし。


私たちは、足音をなるべくたてないようにそーっと移動を始めた。


まずはこの階をすべて調べてしまおうと、小声で話しながら。