「うーんと、目が悪くて耳が良いあの追いかけてくる女の子が『あの子』。
それで、色んな人に化けて私たちを騙し『あの子』の元まで誘導する…というか、『あの子』を呼ぶのが『この子』。
今わかってるのはそれくらいかな」
私が説明をすると、二人は理解した様子で首を縦にふった。
「ね、歩は他に誰かに会った?」
あとは朱里さんにさえ伝えることが出来れば良いんだけど…。
「んー…ごめん、逃げるのに精一杯で誰にも会ってないんだよね。
その、『あの子』ってやつが目が悪いのに気付くまでずっと走り回ってたからさ」
この通り汗だく、と歩は自分の身体を見下ろしながら言った。
確かに額には汗が滲んでいるし、少し疲れた様子だ。



