「………だ、誰?
懐中電灯…ってことは、あいつじゃないよね?」
じーっと警戒しながらその影を見ていると、照らされていることに気付いた影が少し大きな声で話し掛けてきた。
…………ついてる。
見つけた、二人目!
「歩!私、芽衣だよ!」
「……芽衣ちゃん?
良かった、無事だったんだね!」
私を見た瞬間遠目からでも笑ったとわかる歩が、小走りでこちらに近付いてきた。
遅れて美術室から出てきた桜ちゃんも、ビックリした様子で歩の名前を呼んだ。
「あぁ、桜ちゃんも無事でよかった。
………って、さっき会ったか」
あはは、と笑う歩を見ていると、なんだかこの暗い雰囲気も少し和らいだ気がした。
「歩も無事で良かったよ!
聞いたよ、歩も『あの子』に追いかけられたんだよね」
そう言うと、歩は首を傾げる。
あ、そっか。
『あの子』って名前、知らないんだっけ。



