中学三年の夏の終わりの雨の日。 突然降ってきた雨に、傘を持ってきていなかった私は、正面玄関の屋根下に一人佇んでいた。 「どうしよう…この雨…」 すると後ろから、男子生徒が一人出てきて、菜実から少し離れて立つ。 菜実がその男子生徒をチラッと見る。 「…有馬?」 「あー…おぅ」 「あっ…」 菜実は有馬が持っていた紺の傘を見る。 「天気予報…見てきたの?」 「…いや?たまたま、おきっぱなしのヤツ」 「あー…そうなんだ?」