「あ……月」 さっきまで雨が降ってたのに。 夜空には月が顔を出していた。 まだ満月じゃない、少し欠損した形の月。 まるで私達を優しく見守ってるみたい。 「美愛ちゃん」 名前を呼ばれ、彼の方を見ると、背負っていたリュックを地面に置いて中を物色していた。 そして彼はカバンから……。 「はい。どうぞ」 薬とペットボトルに入った水を取り出して、私に差し出した。