真っ暗な世界







それにしても、変な子。


見ず知らずの人に普通に声かけてくるなんて。



しかも、
こんな暗い女に……。




「……」



ふと、何故か彼がジーッと私の顔を凝視してきた。


何……?

もしかして、無愛想な子だなとかって思ってる?




「……本当に、大丈夫?」


「え……だから、転んだのは別に」


「そうじゃなくて……」



ガヤガヤとした喧噪の中、彼の声が静かに虚しく響いた。






「泣きそうな顔してる。何でそんなに、悲しそうな顔してるの?」