あるときは護衛だのなんの言って
風呂場を覗いたり


またあるときは目覚ましだの言って
布団の中に入っていた時もあった


信じられない。どういう神経をしているんだこいつはと。


仮にも私は一国の王女。
こんなに気易くベタベタ触れられるような存在では普通無い。


しかしこいつにとってはそれが当たり前なようで私はどうすることも出来ない。


王女として、一度の騒動で国民の信用を失いたくは無いのだ。


だから耐える。ひたすら。
耐え…「ロンー!」


…くっそ殴りたい。
いっそ凍らせてそのまま冷凍保存してやりたい


無視してベッドから降り、髪をとかす。
そんな私を見て、またあいつはあの妙に明るい声を出す


「えー無視なんてひどーっ折角いい事教えてあげようと思ったのにーっ。まあいいか。髪、とかしてあげる」


そういって私の手からブラシを取り上げると丁寧に私の髪をとかしていく。


私はなんの抵抗もなくあっさりとブラシを取り上げられてしまったことに
自分の無力さに心底呆れてしまった。
もうちょっと力をつけなければ、国民さえ守れなくなるだろう。


………そして妙に気になる
なんだいい事って。
あんな所で口を閉ざされて聞きたくないわけがない


「何ウズウズしてんのロン?もしかしてさっきの続き、気になってんの?」


ハッと我に返り、
後ろを振り返る


ニヤニヤとしたその顔は
私をからかっているときの顔だ。


なんだか心を読まれて馬鹿にされてる気分だった。