梅雨入り前の貴重な太陽。 見渡す限り、どのベランダも洗濯物に埋め尽されていた。 僕の部屋も、向かいのマンションから見れば同じく見えるだろう。 彼女が部屋を出る前に干して行ったシャツが緩い風に揺れる。 布団を干しておいてあげよう、きっと気が利くと喜んでくれる。 僕は燃えないゴミの方に缶を捨て。 二組の布団を引っ張り出して。 もう本当にやる事が無くなった。 テレビでも見て時間を潰そう。 そんな緩い視界の隅に映る物。 僕は、見付けてしまったんだ。