家に帰り自室に戻ると、クッションを抱えてケータイの画面を開いた。


ケータイの中のアルバム。


あなたとの写真が保存されたフォルダ。


関係が終わったあの日から、ずっと見れずに、消せずにいた。


幸せなときの笑顔を切り取ったようないくつもの写真。


昼休み、放課後、学校、公園、青空、雨降り、雪の日。


色んな写真があった。


思っていたより、ずっと多くの写真があった。


どの写真の2人も笑っていた。


穏やかな笑顔で、幸せそうで。


1枚1枚、焼き付けるように、刻み付けるように見つめては、削除していく。



写真を見る度にフラッシュバックする記憶、感情。


あの日の笑顔。


たくさんの思い出。



あのときの私は確かに幸せに包まれていた。



想い出たちはいつも優しかった。



いつも私に幸せな幻を見せてくれた。



終わりを告げられても、変わらずに。




だけど、もう今は。



もう、今の私は。



あの日の笑顔に



たくさんの想い出に




抱かれて眠らなくても、明日の夢を見れるから。