あなたはいつも別れを見据えていた。


そのことに気づいたのは、いつの頃からだっただろう。


けれど別れを告げられる数ヶ月前にはもう分かっていた。


昼休み、一緒にお昼ごはんを食べていても。

放課後、茜色の帰り道を一緒に歩いても。

休日、どこかへ一緒に出かけても。


楽しそうなのは顔と声だけで、

瞳は全然楽しそうじゃなかった。


あなたはこの関係に冷めていた。


きっとそうだったんだと思う。


楽しい2人の時間のその先を、

未来を見通していたのだ、と。


はしゃいでいたのは、私だけだ。


いつもあなたに会えると思うと心臓を高鳴らせていた。


お昼ごはんを一緒に食べるとき、綺麗に優雅に食べれるように気を使った。


ノートを貸す時に恥ずかしくないように、いつも丁寧な字を心がけていた。


学校の廊下ですれ違うとき、その一瞬が幸せだった。



2人の関係はずっと続くのだと訳もなく信じていた。



けれどそれは間違いだった。



正しく言えば、私だけの幻想だった。



私達の心をつなぎとめるものなど、なかった。



なにもなかった。



からっぽだった。




それでも関係が続いていたのは、

あなたがこの関係を終わらせる言の葉を口にしなかったからだ。




あの日まで。