相手は薩摩示現流の達人。

必殺の一撃が凄まじい速さで繰り出される。
まさにトンボの構え。


初太刀の一撃が必殺に成りうる。


高柳又四郎は無構えで、間合いだけを測る。


担がれた刀が僅かに動く瞬間、懐目掛け突進する。
まるで光線の如く。


一撃の蹴りをミゾオチに入れる。
抜刀し、怯んだ相手の動きに会わせ刀を振るう。

人には、腕が何本も在るのではないかと思わせるような斬撃が、電光石火の如く速く、残影が目視出来る程であった。


示現流の達人は、血に染まり倒れ伏す。



高柳又四郎は刀を鞘に納め、歩き出す。



刹那、雷号が天空から放たれ、高柳又四郎を直撃した。



又四郎の意識が遠退く。


幾人の剣客と戦い、命のやり取りをしてきた自分が、ここで力尽きるとは・・・。


又四郎は、暗黒に沈んで行くのを感じていた。