佐伯先生の優しすぎる嘘




「七瀬くん、ごめん…私…」



「っ…わかった。
俺の方こそ、足、気付けなくてごめんな」



寂しそうな表情を浮かべた七瀬くんは、背を向けてみんなの方に走っていった。




「水島さん、こっち」



佐伯先生は私を呼んで、河川敷の階段の砂を手で払って、私を座らせた。

みんな階段に座って花火を待っている。


私の隣に腰を下ろした佐伯先生は、大丈夫?と私の足を心配してくれる。




「用って…なんですか?」



そう聞くと、決まり悪そうに目を逸らした佐伯先生。





「うーん、何だろうね…」



すごく、すごく、都合のいい想像をしてもいいかな。


“七瀬と仲良かったっけ?”



私が七瀬くんと喋ってたのは、佐伯先生に会う前だ。

その前から私に気付いていてくれたり、したんだろうか。



用がないのに私を呼び止めたことに、理由はあるんだろうか。



その答えは佐伯先生しか知らないけど。


ねえ、先生。



少しだけ頬が赤い気がするのは、私の気のせいですか…?


肩が少し触れるくらい近い距離に、胸がふわふわする。