佐伯先生の優しすぎる嘘





「手伝うよ」

「ううん、大丈夫」


「んー、じゃあ待ってるから一緒に帰ろう」

「ありがとう」




夕羽を待たせないためにも、プリントをまとめるスピードを早める。



「どうなの、先生とは?」

「っ、」




不意打ちの質問に、思わず手が止まる。


「…どうもない…」


「うーん、まあそうだよね」



先生だもんな、と頷く。




「杏奈は優等生なのに何で先生にしちゃうかなー?
美人だし性格いいし、モテるんだから他の男子なら誰でも上手くいきそうなのに」



「そんなことないよ」



それに、たとえ報われなかったとしたって佐伯先生じゃなきゃダメなんだ…。