「はい、号令かけてー」
白衣を脱ごうとボタンに手をかけながらきょうしつに入ってきた佐伯先生に、みんなが脱がないで!と頼む。
「白衣の先生だったらいつもの倍くらい真面目に授業聞くから!」
「お願いしますー!」
普段から真面目に聞いてくれよ、と眉を下げて笑う先生は、女子達に圧倒されて白衣を着たまま授業を始めた。
やめてよ、佐伯先生。
私は逆に、佐伯先生にしか集中できなくて、授業なんてまともに頭に入らなくて。
佐伯先生にかっこいい、と自然に言える女の子たちが羨ましい。
…私には本気すぎて言えない。
「ここの逆説に注目してみると、作者の一番言いたいことが見えてきますよ」
佐伯先生の心地いい声も、好き。
ふとした瞬間、交わる視線も、好き。
ちゃんと教科書見ろ、って、私だけにわかるように、下を指差す仕草も、好き。
全部、大好き。



